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【特集】より良い食事サービスへ-持続可能な提供体制を目指して-

2023年9月、広島県の給食事業者の事業継続が困難になり、突然、学校給食が停止したニュースは記憶に新しい。毎日の仕込みや調理などのために発生する早朝、深夜業務による労働者確保の難しさ。食材や光熱費などの経費が増加しても給食費などへの転嫁が難しいことなどが背景にあるが、病院給食にも同じことが言える。当たり前のように1日3食を提供し続けること、そしてより良い食事サービスを実現するには厨房運営を効率化するなど一層の工夫が必要になっている。

一般的に病院給食は給食会社への委託(全部・一部)により運営されることが多く、その委託費は人件費や材料費、光熱費などの高騰により増加の一途を辿っている。ところが、診療報酬で病院給食の運営経費に充当できる収入(食事療養基準額)は長年変わって来なかった。材料費だけでなく、人件費などの経費も含む基準額は平成9年以降、1食640円で据え置かれ、直近では委託費が食事療養基準額を4%超上回る状況が続いている。24年4月の診療報酬改定で1日2,010円、1食670円に見直されたが、以前、厳しい環境であることには変わりない。食事は治療であると同時に、入院生活の楽しみであり満足度を左右する大きな要因であるが、こうした背景から創意工夫の志があったとしても形にしづらい状況になっていた。


出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001176733.pdf)

京都近衛リハビリテーション病院は2022年に厨房運営を「直営」に切り替えた。これは現場の声を直接的に厨房運営に活かし、より良い食事サービスの提供を目指すためのもの。それと同時に厨房運営の持続可能性を高めるための試みでもある。直営へ切り替えて最初の1年間は、3食を安定して提供することに努めた。2年目以降は新たな試みを始めており、取り寄せサービス(個室対象)や、厨房運営方法の見直しも進めて来た。

グループ広報誌orinas「食事改革プロジェクト」特集

後者については、ナリコマ社のセントラルキッチンにてクックチル方式で製造された完全調理済み食品を全面的に導入する方針を決定した。クックチル方式とは、調理後に急速冷却されたものを、現場で再加熱、盛り付けして提供する方式。2023年度中にトライアル期間を設けて患者様の喫食量や残食量を調査し、現行の提供方法と変わりない評価であることを確認した。これにより調理業務の効率化を図ることができ、時間数にして1日当たりの総作業時間を10時間程度、出勤人数にして常勤職員1名分程度の余力を生み出すことができ、働く環境改善に向けて早出の出勤時間を5:30から6:00に30分遅らせることができた。

割れにくい陶器の食器を個室で試験導入

加えて、生み出した余力を更なる食事サービスの充実に向けた改善活動に当てはじめている。食事サービスは、回復期リハビリ病院としてリハビリ治療効果を引き出すものであること、またそれに見合う栄養管理がなされていることが第一である。そのうえで、入院生活の楽しみ・潤いとしての食事という観点もかかせない。現場の声を聴き、献立はもちろん食器や環境など食事提供の設えにまで視野を広げて、2024年度中に一つひとつを形にしていく考えだ。
厨房直営化から3年目を迎えた。社会環境が変化するなかにあっても1日3食、365日、安心・安全な食事を提供し続け、より満足度の高い食事サービスの提供に努めていく。

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