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ドクター登場!藤井 良憲医師(リハビリテーション科) 神経学的音楽療法

今春、着任された京都大原記念病院の藤井良憲医師(リハビリテーション科)のコラムをご紹介します。

神経学的音楽療法

音楽療法はリハビリテーション治療の多くの場面で利用されており、その効果も学会や論文で報告されています。7月号の「和音」で木村泉先生が紹介されていた「モーツアルト療法」もその一つです。一方で能動的な音楽療法の中に、「神経学的音楽療法」があります。

これはコロラド大学の元教授Dr.タウトが中心となり研究されたリハビリテーションで、音楽の脳神経細胞に与える刺激を利用した治療法です。19のテクニックがあり、主に脳卒中による障害(運動領域、認知領域、言語領域)に行いますが、今回は日常でも使える運動に対する神経学的音楽療法のテクニックの一つを紹介します。

それは「リズム聴覚刺激」と言い、脳卒中だけでなくパーキンソン病の歩行訓練にも用いられます。このテクニックは外的なシンプルなリズムを運動開始の合図として用い、人間が本来持っている内的なリズム(脈拍、呼吸、脳波等)の調整を促し,歩行速度・歩数・歩幅の改善と左右の振れの調整することで、歩行パターンを安定させる訓練方法です。

実際の治療場面では音楽療法士が前に立ち、楽器やメトロノームでリズムを奏で、先ずはそのリズムに歩行リズムが同調するように一緒に歩き、歩行の動作パターンを修正していきます。これを「リズムによる引き込み現象」と言います。この同調を繰り返す事で「リズムの先読み」が出来るようになり、安定した歩行パターンが形成されます。更にリズムの周期を徐々に早め、歩行の限界周期へ引き込めることも出来るようになります。

ではどうやって日常的に利用するのか? 最近では音楽を聴きながら通勤・通学や、散歩・ジョギングをする人口が多くなっていますが、音楽を聴きながら歩いたり走ったりすると、聴かない時より歩きやすい!走りやすい!と感じたことはありませんか?それは既に自身でリズムとの同調を実践しているのです。勿論、病気や障害を持たれている方も自分の好きな音楽を聞きながら、又は耳元で聞かせて貰いながら自宅や屋外を歩くことで、徐々に音楽のリズムと同調することが可能になり、移動能力の向上が期待できます。

寒い季節になり自宅内に籠りがちになりますが、音楽を友に行動されては如何でしょうか。

 

  • 【Profile】
  • 藤井 良憲(ふじいよしのり)
  • 医学博士
  • 日本リハビリテーション医学会指導医
  • 日本外科学会認定登録医
  • 日本消化器外科学会認定医
  • 義肢装具等適合判定医師
  • 日本医師会認定産業医

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